車を購入する際、月々の支払いが安く済む残クレ(残価設定型クレジット・残価設定ローン)というローンの組み方があることをご存知でしょうか。
この残クレには月々の支払いが安くなることを始め、他にも幾つかのメリットがあります。
しかし、気をつけなくてはいけない点もあります。
そこで今回は、残クレの仕組みやメリット・デメリットについてお伝えします。
車の購入や買い替えを予定している人は必見の内容です。
目次
1 残クレとは
残クレ(残価設定型クレジット・残価設定ローン)とは、あらかじめ設定した数年(3~5年)後の車の「残価」を差し引いた分をローンとして支払っていく契約です。
ローンの総額が減るので、月々の支払いも通常のローンより少なくて済みます。
残価とは、上で述べた、定められた年数が経過した後の、その車の市場価値です。
つまり、その時点でその車を売ったら幾らになるかを算出し、その分を予めローンの総額から差し引いておく、というわけです。
それについては、次の章で説明します。
ただ、ここで押さえておきたいのは、残クレとは車の総額をローンに入れていないことからわかるように、購入というより、契約期間中、車の使用権を得ている状態である、ということです。
2 契約終了後の3つの選択肢
残クレの契約終了後、車をどうするかは以下の3つの選択肢があります。
- 車を返却する
- 新しい車に乗り換える
- 残価を清算して車を買い取る
完済後にどうするかによって、車の乗り方も変わってくるので、ローンを組む段階で決めておく方が良いでしょう。
また、残価を清算して車を買い取る場合は、通常のローンよりも利息が高いため総支払額が高くなることがあります。
このことについては、4章のデメリットの項目で改めて説明します。
3 残クレ3つのメリット
まずは、残クレのメリットから見ていきましょう。
月々の支払額を押さえられる
冒頭でも説明した通り、残クレを利用すると月々の支払いを抑えられます。
通常のローンや支払いでは手が届かない“憧れの車”にも残クレを利用すれば乗れるかもしれません。
数年で乗り換えたい時に便利
車が好きで、数年ごとに乗り換えたい人や、引越しの予定などがあり、車が必要な期間が決まっている場合などは、残クレは便利です。
ドム君の言うように、残クレはライフスタイルの変化に適応させやすいというメリットがあります。
新車であれば、車検の時期までに車を返却すれば、車検代も浮かせられます。
残価が保証されている
残価、つまり契約終了後の下取り価格が保証されているのも、残クレの魅力の一つです。
そういった車種でも、残クレの場合は残価が保証されます。
ただし、事故などで大きな損傷を車体に与えていないことが条件です。
4 残クレの4つのデメリット
次に残クレのデメリットについてお伝えします。
利息が高い
残クレのローンの利息は一般的なローンよりも高いことが多いです。
理由は、残クレのローンの金利には、残価分の金利も乗っかっているからです。
つまりこういうことです。
残クレを使うと…
- ローン総額は残価分安くなる
- ローンの金利は支払う分のローンに残価分も上乗せされるため、通常より高くなる
ということです。
そういうことです。
ですから、仮に契約終了後、残価を支払う、つまり車を購入するとなると、初めから通常のローンを組んで購入するより、支払い総額が増えてしまう可能性があるのです。
走行距離の制限がある
残クレの車は契約終了後、下取りに出されると、中古車として再販されます。
そのため、中古車としての価値を下げないよう、月間または年間での走行距離制限が設けられています。
制限距離を超過すると追加料金が発生するので注意が必要です。
こうした制限は長距離走行する人にはデメリットとなるでしょう。
事故などで車体に傷がつくと追加料金が発生する
事故で車を破損させてしまうと、その状態での下取り額と、事前に設定した残価との差額を支払う必要があります。
全損させてしまった場合は、ローンだけが残ることになります。
ローンの金利が高いことも考えると、事故を起こす可能性が高い人は残クレではなく、通常の自動車ローンの方がいいかもしれません。
人気車種は残価より価値が高くなる場合がある
これは、メリットでお伝えした、残価保証とは逆のパターンです。
対象の車種の人気が上がり、契約終了時の下取り額が、契約時に設定した残価を上回ることがあります。
上回った分は、還元されますが、ディーラーより車買取店へ出した方がより高価買取をしてくれる可能性があります。
数年で人気が落ちなそうな人気車種の場合、残クレより通常の自動車ローンをお勧めします。
5 残クレを使った方がいい人・使わない方がいい人
ここまでの内容を踏まえ、残クレを使った方がいい人とそうでない人をお伝えします。
使った方がいい人
・特定のメーカーのファン
・車が必要な期間が決まっている人
・3~5年サイクルで乗り換えたい人
それは、残クレがメーカーやディーラーの顧客囲い込み戦略の一つでもあるからです。
メーカーとしては、予め下取り価格を設定し、ローンの総額を下げる代わりに、次も自社の車に乗り換えてもらう狙いがあります。
しかしこれは逆を言えば、特定のメーカーのファンにとっては、通常より安いローンでそのメーカーの車に継続して乗り換えていけるということでもあります。
使わない方がいい人
・長距離を運転する人
・車をカスタマイズしたい人
・車の運転が苦手で事故を起こしてしまいそうな人
残クレ対象車は、再販される可能性があるため、基本的にカスタマイズは認められていません。
6 迷ったらカーリースを検討するのもあり
ここまで読んでも、残クレを利用するかどうか迷う場合は、カーリースを検討してもいいかもしれません。
カーリースは車のサブスクともいうべきサービスで、月々決まった金額で好きな車に乗れます。
月々の料金は残クレより高めですが、メンテナンス費や車検費用が含まれているため、追加料金はほとんどかかりません。
まとめ
今回は車購入における、残クレの仕組みやメリット・デメリットについてお伝えしました。
車は高い買い物です。
カーリースなど、他のサービスも検討しつつ、なるべく出費を押さえ、自分に合ったサービスを賢く選びましょう。