夏と冬に支給されることが多い賞与(ボーナス)。
人によっては百万円単位のこともあり、ウキウキで「何買おうかな~♪」と今から考えている人も多いのではないでしょうか?
ですが、そんな賞与がどういう仕組みのものかを深く考えたことはありませんよね。
毎月貰える給与とボーナスはどちらも会社から貰うお金ですが、同じようで違う面も。
今回は賞与の特徴を、いろいろな視点から見てみましょう!
目次
税金から見た賞与とは?
会社員は給与から「源泉徴収税」として一定額天引きされており、賞与も対象となっています。
賞与は毎月の給与と同じく給与所得とされていますが、計算方法はまったく違うのです。
毎月の給与は、その月に支払われる金額から社会保険料を引いた額を「給与所得の源泉徴収税額表」に当てはめて、源泉徴収する金額を決めています。
一方、賞与はステップが少し複雑。
まずは計算式を見ていきましょう。
賞与の源泉徴収額 =(賞与金額 - 社会保険料 )× 税率
賞与は、この「税率」を決めるために前月の給与を基準にしていることが特徴です。
前月の給料から社会保険料を差し引いた金額を「賞与に対する源泉徴収額の算出の表」(下図)に当てはめて税率を決定します。
税率が決定したら、給与と同じく賞与から社会保険料を差し引いて税率を掛けましょう。
こうして、賞与の源泉徴収額が求められます。
ちょっと複雑・・・?と思うかもしれませんが、「賞与から引かれる源泉徴収税は、前月の給与の金額で変わってくるんだ!」というところがポイントですよ♪
▲国税庁WEBサイト「賞与に対する源泉徴収額の算出の表(令和4年度分)」一部抜粋
労働基準法から見た賞与とは?
労働者を守る盾とも言える「労働基準法」では、賞与を「3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」としています。
最大で年に3回まで月給とは別に支払われるものが賞与だということですね♪
労働基準法では賃金を「賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定めているので、賞与を特別なものとまでは考えてはいません。
労働者にとって気になるのは「月給と賞与どちらが多い方がお得か」ですよね。
結論から言うと、労働基準法に当てはめれば、月給が多いほうが多くの面でお得なのです!
なぜなら「平均賃金」や「割増賃金」の計算に賞与は含まれないからです。
平均賃金は年次有給休暇、休業手当、解雇予告手当など労働者の保護するときの基準になっています。
いくら賞与額が多くても、月給が少ないといざというときの補償額や残業代などが少なくなってしまうのです。
雇用保険・労災保険から見た賞与
賞与から控除されるものの1つに、雇用保険料があります。
令和4年10月1日~令和5年3月31日の間は、一般事業では5/1,000が賞与から控除されるのです。
たとえば賞与が40万円のときは2,000円が引かれてしまいます…。
一方、労災保険は雇用主の全額負担なので控除はありません。
保険料を納めていれば、雇用保険では失業や育児・介護休業をしたときに給付を受けるができます。
労災保険は業務中・通勤中での病気や怪我の治療費、働けなくなったことによる生活費などを給付してくれる制度です。
また、雇用保険・労働保険は労働基準法と連動している部分もあります。
雇用保険では給付額の計算に退職する月の最後6ヶ月間の賃金を使います。
労災保険で用いられる「給付基礎日額」は労働基準法の平均賃金とほぼ同じなのです。
厚生年金保険から見た賞与とは?
原則65歳以降から支給が始まる老齢年金、その他障害年金や遺族年金など手厚い内容が特徴の厚生年金保険。
厚生年金保険料は年3回までの賞与が徴収の対象となり、「賞与額×保険料率(原則18.3%)」によって計算されています。
賞与から保険料が何万円も引かれていると思わず文句を言いたくなってしまいますよね…。
ですが、賞与は年金額に反映されるというメリットがあるんです!
賞与が年金額に反映されるようになったのは2003年4月からと実は比較的最近のこと。
今では”月給と賞与の”どちらオトクか”の差は、年金の面では少なくなっています。
健康保険から見た賞与とは?
健康保険はケガや病気で治療にかかった費用の一部を負担してくれる制度です。
誰しも1度は健康保険証のお世話になったことがあるのではないでしょうか。
賞与からは健康保険料も差し引かれています。
厚生年金保険料と同じく「賞与額×保険料率」ですが、保険料率は地域や加入保険団体によって異なります。
健康保険には治療費だけではなく
病気やケガで働けなくないときに支給される「傷病手当金」
出産の以前42日と出産後56日まで支給される「出産手当金」
といった補償的な制度もあります。
この2つは「直近の継続した12ヶ月の客月の標準報酬月額を平均した額の1/30に相当する額の2/3に相当する金額」を基準として支給されています。
つまり、月給が基準となるので賞与額は反映されないということになります。
まとめ
賃金の1つである賞与は「個人の成績や業績によって臨時的に支給されるもの」と捉えられています。
いざという時、公的な手当の金額や補償金額を計算するときには、賞与の金額は反映されないことがほとんど。
月給が少なくて賞与が多いという会社にお勤めの場合は貯蓄や保険など、いざという時に困らないような対策を考えておくと安心ですよ♪