現在、再びコロナ感染者が増えてきています(2022年7月15日現在)。
会社で働く人の中には、コロナに罹って休んでしまったら給料はどうなるのだろうと、経済的な不安を抱えている人もいるでしょう。
そんな人のために今回はコロナで休んだら給料は出るのか、給料以外で補償はあるのか、そして、コロナではなく、濃厚接触者として休んだ場合はどうなるのかについても解説していきます。
目次
1 コロナ罹患は休業手当対象外
病気やケガで休業した場合の給料補償としては、公的・民間合わせて、下記の4種が考えられます。
- 休業手当
- 傷病手当金
- 労災保険
- 所得補償保険・就業不能保険(民間保険)
このうちコロナ罹患で休んで補償が受けられる可能性があるのは休業手当以外の3つになります。
その理由も含めて上記4つについて説明していきます。
➀休業手当
休業手当は会社の都合で社員を休ませたとき、会社が給料の6割以上を補償する制度です。
会社都合とは、業績不振や設備・資材の不備といったことを指します。
ですから、コロナに罹って休んだ場合は、休業手当の対象になりません。
会社都合での欠勤ではないためです。
ただし、コロナは前代未聞の感染症です。
会社によっては特別に手当てを設けていることもあるので、経理担当者や上司に一度確認してみても良いでしょう。
➁傷病手当金
コロナに罹って休んだ場合の補償として一番受けられる可能性が高いのが傷病手当金です。
傷病手当金は、病気やケガが理由で、3日連続で休んだ場合、4日目以降の休業に対し、支給されます。
ドム君の言う通り、3日休んでも断続的な休みでは手当の対象となりません。
また、傷病手当金は原則、国民健康保険にはないため、自営の方には適用されません。
傷病手当金の支給額は1日につき「標準報酬日額※の2/3相当」で、支給期間は支給開始から最長で1年半です。
協会けんぽのホームページから「健康保険 傷病手当金 支給申請書」をダウンロードし、必要事項を記入し、郵送することで申請できます。
傷病手当金については、こちらでも詳しく解説しています。
【傷病手当金】ケガ・病気で働けないときの備えをしよう!
➂労災保険
労災保険は、業務や通勤が原因で病気や怪我をし、休業した場合の補償です。
コロナ罹患が業務や通勤を通じてのものだと証明できれば労災が下りる可能性があります。
しかし、実際にはなかなか難しいでしょう。
感染経路を特定し、罹患と業務(通勤)との因果関係を証明するのは容易ではないからです。
ただし、コロナ患者と接する機会のあった医師や看護師がコロナに罹った場合など、労災が認定されたケースもあります。
➃所得補償保険・就業不能保険(民間保険)
民間の保険にも、働けなくなった場合の補償があります。
「所得補償保険」や、「就業不能保険」と呼ばれるものです。
コロナ罹患での休業はこれら民間保険の補償対象となる可能性があります。
ただし、対象となる症状などは保険会社によって異なるため、保険会社に確認しましょう。
また、コロナで入院や自宅待機になった場合、医療保険や生命保険の「入院給付金」や「入院一時金」が支払われる可能性があります。
これは給与の補填といった意味での補償ではありませんが、休業中の経済的な補償には変わりありません。
こうした「入院給付金」や「入院一時金」は医療特約(オプション)扱いになっていることが多いです。
現在、医療保険や生命保険に入っている人は自分の加入内容を見直し、もし医療特約に入っていなければ、加入を検討してみましょう。
これから保険加入を考えている人も、医療特約に入っておくと安心かもしれません。
2 濃厚接触者として休業した場合の補償
次に、濃厚接触者※として休業した場合の補償について説明します。
※ワンポイントワード解説
濃厚接触者の定義
陽性者の感染可能期間内(発症日の2日前から、診断後に隔離開始されるまでの間)に陽性者と接触した者のうち、次の範囲に該当する者
- 患者と同居あるいは長時間の接触した方
- 手で触れることの出来る距離でマスクなどをせず15分以上患者と接触した方
- 適切な感染防護無しに患者を診察、看護もしくは介護していた方
- 患者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い方
(国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」より)
結論から言うと、濃厚接触者として休業した場合は、1章で述べたいずれの補償も出ません。
そもそも、実際に病気になって休んでいるわけではないからです。
ですから、経済的な意味ではコロナに罹るより、濃厚接触者として休む方が痛いかもしれません。
ただし、上記のように、濃厚接触者には定義がありますので、身近な人が感染した場合、慌てずにまずは自分が濃厚接触者にあたるかどうかを判断しましょう。
自分で判断できない場合は、保健所などに問い合わせましょう。
3 「コロナの疑い」で休業した場合の補償
最後に、発熱などがあり、コロナの疑いで休業した場合の補償について説明します。
この場合、補償が発生するかどうかは、休業が自主的なものか、会社の指示によるものかで変わります。
自主的に休んだ場合、補償は発生しません。
一方、会社からの指示で休んだ場合は、1章で述べた「会社都合での休業」にあたり、休業手当が支給される可能性があります。
コロナの疑いで出社を迷う時は、自主的な休みとされないためにも、一度会社に連絡し、判断を仰ぎましょう。
まとめ
今回はコロナに罹患した場合の補償についてお伝えしました。
今回の記事の大切なポイントをまとめます。
- コロナで休んだ場合、傷病手当金が出る可能性がある
- 民間の保険の加入内容を見直しておく
- 身近にコロナ罹患者が出た場合は、濃厚接触者にあたるか判断する
- コロナの疑いで休む場合は一度会社に連絡する
また、コロナの疑いで休んだ場合は、速やかにPCR検査を受けることをおススメします。
検査で陰性が出て、体調に問題がなければ、すぐに出社できるからです。