2022年10月より
社会保険加入要件と
対象となる事業所(企業)の規模が
変更されます。
これにより
パートやアルバイトなど
今まで社会保険に加入できなかった
短時間労働者も
要件を満たせば
加入できるようになりました。
そこで今回は
社会保険がどう変わるか
また、社会保険に加入する
メリット・デメリットについても
説明します。
目次
1 社会保険とは
今回の改正を正確に理解するには
「社会保険」という言葉が指すものの
中身を知る必要があります。
一般的に社会保険と呼ばれるものは
以下の5つの保険の総称です。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
このうち
今回の改正の対象となるのは
①・②です。
2 社会保険改正のこれまでの過程
社会保険の加入要件を緩和し
より多くの労働者に
社会保険に入ってもらおう
という取り組みは
2016年から始まっていました。
そうです。
ではどのように
変遷してきたのかを
見てみましょう。
2016年の改正前までは
パートやアルバイトなど
短時間労働者が
社会保険に加入するには
「週の所定労働時間数および
月の所定労働日数が
通常の労働者(フルタイム勤務)の
3/4以上である」
ことが条件でした。
それが2016年10月の改正によって
従業員数500人超(501人以上)の
企業においては
通常の労働者の3/4未満の
短時間労働者であっても
下記の①〜⑤の要件を満たせば
社会保険に加入できるようになりました。
- 雇用期間が1年以上見込まれること
- 特定適用事業所に勤務していること
- 週の所定労働時間が20時間以上あること
- 賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であること
- 学生でないこと
さらに2017年4月には
労使合意が成立すれば
従業員数500人以下の企業であっても
短時間労働者を
社会保険へ加入させることが
できるようになりました。
このように
従業員の多い企業から
徐々に少ない企業へと
段階を踏んで
社会保険加入要件の緩和は
進められてきました。
それは次の章で
詳しく見ていきましょう。
3 社会保険の改正点
2022年10月に改正されるのは
以下の2点です。
- 短時間労働者に対する社会保険加入要件
- ①が適用される事業所の規模
それぞれどう変わるか
説明していきます。
まず、短時間労働者の
社会保険加入要件が
以下のように変わります。
(変更前)
雇用期間が1年以上見込まれること
(変更後)
雇用期間が2カ月を超えて見込まれること
「2社会保険改正のこれまでの過程」
でお伝えした
短時間労働者の社会保険加入要件
5つのうち①の雇用期間が
短縮されたということです。
この変更により
日雇労働者や短期アルバイトのように
雇用当初は雇用期間が
2ヶ月以上見込まれなかった者でも
契約更新などにより
2カ月以上の雇用が
見込まれるようになった時点で
社会保険加入の対象となります。
また、この社会保険加入要件が
適用される事業所規模も
以下のように変更されます。
(変更前)
従業員が常時500人を超える事業所
(変更後)
従業員が常時100人を超える※事業所
ワンポイント解説
※「従業員101人以上」のカウント方法
社会保険適用事業所における
従業員のカウント方法は
「通常の労働者(フルタイムの正社員)数」+
「週労働時間及び月労働日数が通常の労働者の
3/4以上の従業員数」の合計となります。
つまり
この合計が101人以上であれば
今回の改正の対象となる事業所
ということです。
対象となる事業所規模が
引き下げられたことで
より従業員が少ない事業所にも
加入要件を満たす短時間労働者を
社会保険に加入させることが
求められるようになるということです。
4 社会保険に加入するメリット・デメリット
今回の改正は
ドムくんの言うように
社会保険に入りたい
と思っていた人にとっては
朗報でしょう。
しかし
社会保険への加入は
メリットとデメリット
どちらもあります。
① 社会保険加入のメリット
「1社会保険とは」で
お伝えしたように
今回の改正により
社会保険に加入した人は
健康保険と厚生年金保険に
加入することとなります。
この2つの保険に加入することで
それぞれ以下のような
メリットがあります。
健康保険
業務外の傷病について
「傷病手当金」や
出産時の「出産手当金」が
受け取れる
厚生年金保険
国民年金に
「老齢厚生年金」や「遺族厚生年金」
「障害厚生年金」などが
上乗せされる。
日本の年金制度は
“2階建て”※と言われますが
その2階部分が加えられることにより
将来受け取れる年金の
受給額が増えます。
ワンポイント用語解説
※年金制度の2階建てとは
1階部分…国民年金(日本に住んでいる20歳以上60歳未満全ての人が加入)
2階部分…厚生年金(会社員などが加入)
また、保険料が
「国民健康保険」や「国民年金保険」より
安いのもメリットです。
② 社会保険加入のデメリット
社会保険加入のデメリットは
保険料の負担が増すことです。
保険料は大抵給与から天引きされるので
これまで被扶養者の範囲内で働いていた人は
手取り額が減ってしまうかもしれません。
それだけでなく
家族内の被扶養者が
社会保険に加入すると
扶養者が勤め先から貰っていた
扶養者手当などが
受け取れなくなる可能性があります。
また、月々の生活に余裕がない
パートやアルバイトの方にとっても
保険料の天引きは負担になるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は2022年10月に改正される
社会保険の内容について説明しました。
現在、社会保険未加入で
パートやアルバイトとして
働いている人は
この機会に自分は社会保険に加入できるのか
できるとして、加入すべきなのかどうか
ぜひ検討してみて下さい。