価値があると思って買ったものに価値がなかったり、トラブルに巻き込まれて仕方がなく契約してしまったらどうしますか?
インターネットでは怪しい広告やSNSアカウントがたくさんありますよね。
振込詐欺やフィッシング詐欺など手口は巧妙化していつ誰が騙されてもおかしくはありません。
そんなときに法律はどう守ってくれるのでしょうか?
目次
騙されないと思っている人ほど騙される
「騙されたりしない」と自信がある人ほど騙されると言われています。
世の中の90%の人が「平均よりも自分はウソかどうか気づく」と考えている…なんていう調査もあります。
絶対的に自信はないけど他の人よりかはマシなはず!と思っている時点で、すでに危ない傾向があるのです!
普段は良くても、お金を副業や投資で増やしたいと焦っているときや、何か問題を解決したくて「藁をも掴む気持ち」でいると、スッと騙されてしまうこともあります…。
騙されるというとお金を想像してしまいますがSNSではどうでしょうか?
SNSでのウソやデマに3/4以上の人が気づいてすらいないのです。
日常生活で自分たちは毎日のように何かに「騙されている」と言えるでしょう。
法律での「悪意」ってなに?
法律では騙されたときに悪意があったかどうかを重視しています。
ここでの悪意とは「知っていたのにしてしまった」「知っていたのにしなかった」という意味です。
相手に嫌がらせをしてやろうという意味とは違うので注意が必要です。
たとえば、知っていただけで嫌がらせをしようと思っていないことはあり得るからです。
嫌がらせをしてやろうというのは「背信的悪意」と別の表現をされます。
また、悪意の反対は善意です。
善意は「知らなかった」という意味となります。
法律での「過失」ってなに?
注意すれば防げたのにそれをせずに失敗してしまったことをいいます。
「そうするつもりは無かったのに」不注意で起こしてしまったというのがポイントです。
たとえ騙されたとしても過失があれば法律で守られないこともあります(涙)
法律は「意思」があるかが大切
例えば売買でトラブルが起きたときに、日本の法律では「売りたい」「買いたい」という気持ちと表現が本当であったかをチェックしています。
海外で犯罪が起きたときに犯人は「自分は悪魔に操られていたから罪はない」ということがよくあります。
自分の本当の意思でしていないなら保護されるべきという考え方といえます。
身近な例では小さな子どもが親に黙って大きな金額の買物をしても、意思が十分ではないので取り消すことができます。
5つの型に整備されている
年々、犯罪やトラブルは複雑になっています。
基本的な法律の型を理解することで、整理しやすくなるでしょう。
ウソをつかれた
心裡留保(しんり りゅうほ)と呼ばれます。
子どもがする「これあげるね!やっぱウソー!」という遊びは大人になると危険です。
ウソであっても原則として有効になるからです…。
あなたはウソだと言っても、相手は引き渡すことを要求することができます!
ただし、ウソであると知っていたり(悪意)、過失によってウソだと気づかなかったりしたときは無効となります。
相手がグルになってウソをついてきた
通謀虚偽表示(つうぼう きょぎ ひょうじ)といいます。
相手Aと相手Bがグルになってウソをついているものを買ってしまった場合です。
たとえば、税金逃れのために財産を隠す目的で、相手Aが相手Bに家を売却したことにして、名義を相手Bに変更しました。
その後に、相手Bが相手Aに黙ってあなたに家を売った場合です。
本当の持ち主であるAから「本当は自分の家だから返せ」」とトラブルになりえます。
この場合は相手Aと相手B間での家の売却は「ウソ」なので、わざわざ法律で守る必要がないと考えて無効となります。
あたなは相手がグルであったことを知らなかった(善意)のであれば保護され、家を返す必要はありません!
勘違いして買った
錯誤(さくご)といい、商品Aと思ったら勘違いして商品Bを買ってしまったようなケースをいいます。
法律上は勘違いしたというだけでは守ってくれません。
勘違いした影響が誰から見ても「重要」である必要があります!
たとえばインターネットオークションで相手に代金1万円を振込みしようとしたら、注意はしていたものの、一桁間違えて10万円を送ってしまったら誰からみても「重要」と考えられますよね。
そういった場合は取消ができます。
レア物アイテムだから買ったのに実は普通の品だったというときも取消しができます。
この取消しをするときは「レア物だから買いました」と契約書など何かしら示しておく必要があります。
なぜなら、売り手側から相手の本心は読み取れないので、何でもOKだとキャンセルされる不都合が大きくなりすぎるからです。
また、錯誤だからといっても、あなたが誰もが気づくだろうということを見過ごしていたのなら「重過失」として保護はされません(汗)
ただし、相手も同じ勘違いをしていたなら取消しできるという例外もありますよ!
騙されて買った
ニセモノを本物だと言われて買ってしまったようなケースを詐欺(さぎ)といいます。
詐欺はウソ(心裡留保)と似ているように感じますよね。
ウソ(心裡留保)は本心と言っていることにズレがあることをいいます。
詐欺は騙すことで「勘違い」を発生させることをいいます。
この場合ではニセモノなら買わなかったのに、本物と言われることで「価値があるもの」と勘違いして買っていますよね。
詐欺では自分の意思が歪められていると言えるので、取消しすることができます。
脅されて契約をした
ナイフを突きつけられた状態で契約書を書かされるような状況を「強迫」といいます。
相手に畏怖を与えて、自由な判断をさせないことをいうので「ひどい目に合うぞ」「訴えてやる」ということも強迫にあたります。
強迫は意思を完全に歪めてしまっているので取消しができます。
騙された人には手厳しい面もある
自分や相手の意思が違う、歪められている、勘違いを起こしているときは基本的に取消しできます。
ですが、そこに他人が加わってくると大きく話が変わってきます。
法律では「第三者」という言い方をしています。
たとえば、あなたが相手から騙されて買ってしまったことに気づく前に、さらに他人(第三者)に売ったときが代表例です。
本当なら騙されているので取引を取消すことができますよね。
ですが、すでに手元に物がある第三者としては困ってしまいます。
このとき、どちらが守れるかというと第三者となります。
過失もなく何も知らない第三者が登場したときには
「騙されたあなたも悪いです。第三者は落ち度がないのだから仕方ないですよね?」
このように法律はまるで性格が変わったかのように優しさがなくなります。
一方で、強迫された場合は第三者がいても保護されます。
強迫した側が悪いのであって、強迫された側に落ち度はないと考えているからです!
まとめ
法律は原則として騙された人を守ってくれますが、第三者が登場すると守られない場合があります。
現実的にも事実を立証できるか、裁判の手間や費用を捻出できるかなどの問題もあります。
騙した相手に逃げられてしまえば捕まえることは難しいかもしれません。
仮に捕まえることができても、お金やモノを取り戻すことができるかは別の問題です…。
ウソや詐欺の巧妙さが増し続けている社会では、自分が常に騙されているという意識を持つことが大切でしょう!