ガソリン代が高い状態が続いています。
普段の生活で車を使う人にとっては家計への影響も大きいでしょう。
それにしても、そもそもなぜこんなにガソリン代は高くなってしまったのでしょう。
そして政府はそれにどう対応しているのでしょう。
社会人であれば、「値段が高くなったから節約する」という表面的な対応でなく、「なぜそうなっているのか」を知っておくことも大切です。
そこで今回は、ガソリン代の節約術と共に、ガソリン代が高くなった背景や政府の対応などについても解説します。
目次
1 ガソリン代高騰の3つの理由
➀不安定なウクライナ情勢の影響
現在、ウクライナへ侵攻したロシアに対し、各国が経済制裁を課しています。
一方、ロシアは一大産油国でもあるため、経済制裁によって原油が供給されにくくなる可能性があります。
その懸念から原油価格が上がっています。
➁石油輸出国機構が石油増産に慎重になっているため
コロナ禍における外出自粛などでガソリンの需要が減り、一時、ガソリン代が下がりました。
現在は外出する人も増え、ガソリンの需要も高まってきています。
しかし、原油産出国で組織される石油輸出国機構(OPEC)は、再度、需要が落ち込むことを警戒し、思い切った石油増産に踏み切っていません。
需要が高まっているのに、供給量が伸びないことがガソリン代高騰に繋がっています。
➂アメリカの長期金利上昇の影響
アメリカが金利政策を転換し、金利引き締めに入ったことで、金融緩和政策を続ける日本とのギャップが大きくなり、円安ドル高となっています。
日本はガソリンの元となる原油を輸入していますから、円が安くなればその分、国内の原油価格は上がり、当然それは小売価格にも反映されます。
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2 ガソリン代高騰に対する政府の対応
さて、1章ではガソリン代高騰に繋がる世界の動きについて見てきました。
では、国内ではこの問題にどう対応しているのでしょう。
2-1燃料油価格激変緩和対策
政府はガソリン代高騰に対し、下記のような「燃料油価格激変緩和対策」を2022年9月まで取るとしています。
- ガソリン価格の全国平均が1ℓ168円以上となった場合、1ℓあたり35円を上限に石油元売りなどに補助金を支給
- 補助金がなかった場合の価格と168円の差額の半額を補助
要は、補助金でガソリン価格を抑えようというわけです。
この政策に政府は、総額1兆6000億円を投じています。
次の章ではそのことについても解説していきましょう。
3 トリガー条項はなぜ凍結解除されないのか?
実は、補助金よりも効果的にガソリン価格を抑えられるとされる方法があります。
それが「トリガー条項」の凍結解除です。
3-1「トリガー条項」の凍結解除とは
ガソリンには1ℓ当たり24.3円の揮発油税と4.4円の地方揮発油税が課せられています。
現在はそこに、租税特別措置として、25.1円が上乗せされています。
この租税特別措置分の25.1円には以下の条件が揃った時には廃止するというトリガー(引き金)が付けられています。
・ガソリンの平均価格が3か月連続で 160 円/ℓ を超えた場合
しかし、このトリガー条項は東日本大震災の復興財源を確保する為に凍結、つまり、一旦、無しにしておこう、とされました。
一方、現在の状況はトリガー条項の条件を満たしています。しかし、依然としてトリガー条項の凍結解除はされていません。
普通に考えるとそうなのですが、そこにはどうも政府の政治的な思惑もあるようなのです。
3-2減税より補助金で恩を売りたい?
先ほど述べたように補助金による支出は1兆6000億円。
それに対し、トリガー条項凍結解除による、税収減は1年間で1兆5700億円になると財務省は試算しています。
そうなのです。
しかし、それでも政府がトリガー条項凍結解除に踏み切らないのは、ガソリンの元売会社に補助金を出すことで「恩を売りたい」という思惑があるからのようなのです。
補助金で業界に恩を売れば、選挙で支持を得られる可能性も高まります
一度解除されたら、減収分を取り戻せなくなるという懸念もあるのでしょう。
財務省からすれば、揮発油税は一般会計とのるため、使い勝手の良い税源を失いたくないという思いもあるのかもしれません。
4 ガソリン代節約術
ガソリン代が上がっている背景がわかったところで、いよいよここからは、そのガソリン代を抑える方法について解説していきます。
大前提は、解説するまでもなく、エコな運転です。
しかし、それ以外にもガソリン代を節約したり、上がったガソリン代の代わりに節約できるものがあります。
セルフのガソリンスタンドを利用する
一般にセルフのガソリンスタンドの方が通常のガソリンスタンドよりも2~5円/ℓほど価格が安いです。
高速道路に乗る前に給油する
一般道にあるガソリンスタンドよりも高速道路のPA/SAにあるガソリンスタンドの方がガソリン価格が10円/ℓほど高くなっています。
高速に乗る時は、事前に給油しておきましょう。
会員割引やカード特典を利用する
よく利用するガソリンスタンドがあるなら、会員になりましょう。
会員割引が適用されると、非会員より1~2円/ℓほど安くガソリンを入れられます。
自動車保険を見直す
代理店型の自動車保険よりもダイレクト型(ネット型)の自動車保険の方が代理店手数料などが不要な分、保険料が安い傾向があります。
セルフ車検にトライする
ガソリン代もですが、1度で数万円かかる車検代も馬鹿になりません。
平日休める人は、自分で車検を通すことで車検代を節約できます。
自分で行うのが難しい場合でも、ディーラーよりカー用品店などに頼む方が安く済む場合があるので、比較してみましょう。
まとめ
今回は、ガソリン代高騰の背景や理由、そしてガソリン代節約術について解説しました。
世の中の動きを注視し、先を予測しつつ、足元の家計を節約するために、小さな工夫を積み上げていきましょう。