副業が認められて会社員以外のことにもチャレンジができるようになってきました。
1年間で何十万円、何百万円と大きな収入となって独立する人もいます。
売上が大きくなった場合には、人によっては開業届を出したほうがオトクということもあります。
目次
開業届ってなに?
開業届は、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と言い、開業することを税務署に伝えるためのものです。
屋号での銀行口座やクレジットカードの開設を行う場合、開業届の控えの提出を求められる場合もあります。
本業と副業でも開業届を出す手続は同じで、開業から1ヶ月以内に税務署長に提出します。
開業届と共に税制面でのメリットの大きい「所得税の青色申告承認申請書」も提出することが多いでしょう。
青色申告の申請にも期限が設けられているので注意が必要です。
- 開業した場合は開業日から2か月以内
- 1月1日から1月15日までに開業した場合は、その年の3月15日まで
- すでに開業している場合は、特別控除を受けたい年の3月15日まで
開業届を出したほうがよい場合
開業届は会社員であっても届けることができます!
ですが、副業をしているからといって開業届を出さなくてはいけないということはありません。
副業であれば「雑所得」とされて利益について課税されるだけです。
売上が大きいから開業届が必要というわけでもありません。
開業届は一時的なものではなく継続的な事業でなければならないからです。
例えば、趣味で動画サイトに投稿して収入を得たり、たまにフリマアプリでいらなくなった服を売ったりするものは対象になりません!
会社員が開業届を検討するのは年間の収入が100万円以上になってからでよいでしょう。
売上が大きくなるほど、開業届を出すことで得られるメリットが大きくなっていくからです。
逆に、年間数10万円の売上では帳簿作成や確定申告の負担のほうが大きくなってしまいます…(涙)
開業届を出すメリット
独立や起業の準備になる
いきなり独立や起業をすると準備や手続で大忙し!
行政への届出、名刺や資料の作成などで、事業が軌道に乗るのに時間がかかってしまいます(汗)
会計帳簿の付け方や領収書の管理方法など、今までになかったノウハウを身につけなくてはいけなくなり、パニックになってしまいますよね。
ですが、先に開業届を出すことで本格的に活動を始めたときの負担を軽減ができます。
会社員と兼業だとしても屋号を持っていれば「代表」であることに変わりはなく、ビジネスを展開するのに必要な信頼度も高まるでしょう!
最高65万円の青色申告特別控除を受けられる
開業届と合わせて「所得税の青色申告承認申請書」をすることで、青色申告特別控除を受けることができます。
青色申告の特別控除は原則55万円。
最高65万円の控除を受けるためには「電子申告」または「電子帳簿の保存」が必要となります。
会社員としての所得控除と個人事業主としての青色申告の控除をダブルで使うことができるのです。
経費にできるものが増える
会社員ではスーツ代など一定のものであれば経費として所得から控除することができますが広くは認められておらず、基本的には給料所得控除として定額が認められているだけです。
ですが、副業と関係があれば経費とすることができるようになります。
自宅兼オフィスなら家賃、光熱費、インターネット料金を一定の割合で事業の経費とすることができるのです。
自家用車のガソリン代なども業務で使った分を経費にできますよ。
家族への給与を全額経費にできるのもポイントです。
青色申告をすれば「青色事業専従者給与」によって、生計を一にしている家族が事業を手伝っている場合は、家族の給与を経費にすることができます。
「妥当な金額」である必要はありますが、上限は設定されていないので高い節税効果があります。
3年間も赤字を繰り越せる
開業初年度は設備投資などで赤字というのは珍しくありません。
青色申告ではその赤字を繰り越し、黒字になった年度の利益を減らすことで税金の負担を軽くすることができます。
開業届を提出せず副業が雑所得として扱われると繰越をすることはできません…。
開業届を出すデメリット
管理の手間が増える
開業届を出すことで青色申告特別控除など、税金面でさまざまなメリットを受けることができます。
一方で帳簿の管理が煩雑のデメリットがあります。
青色申告では複式簿記で記帳して仕訳帳や総勘定元帳を作成するのが原則です。
これらを元に貸借対照表と損益計算書を作成して他の書類と共に確定申告をします。
このように確定申告するときには準備に時間がかかってしまいます…。
雇用保険の失業給付の対象とならない
独立・起業するために会社を辞めてから準備を始める場合、起業準備をしている間は働く準備をしていると考えられるため、失業給付を受けることができる可能性があります。
しかし、開業届を出していると、個人事業主として「就職している状態」だと考えられるので失業給付を受取ることはできません…(涙)
本業をやむを得ない事情で退職する場合は、あらかじめ廃業届を提出して、一旦ビジネスを行わないという判断することも、状況によってはありえるでしょう。
就業規則に抵触する
企業によっては副業や兼職を就業規則で禁止しているケースがあります。
労働時間は会社ごとではなく全てを合計すると考えられています。
本業と副業を合わせると多くの場合、法定労働時間を超えてしまいます。
企業は健康配慮義務など負っていますが副業の分は把握できず、従業員がWワークで過労など健康を害した場合には、責任を問われる可能性もあるのです…。
個人事業主であれば原則として労働時間という考え方はなくなります。
しかし、本業で学んだスキルを活かして活動している場合は問題です。
企業にとっては利益相反行為、簡単に言えば裏切り行為になりえるからです!
就業規則で禁止されていたり、許可を得ずに行っていたりする場合には懲罰の対象となりえます。
あらかじめ就業規則や関係部署に確認をとっておく必要があるでしょう。
まとめ
開業届は会社員であっても出すことができますが、義務ではありません。
継続的に取引をしていて、収入が100万円を超え始めると節税効果のメリットが増え始めます。
一方で管理の手間が増える、本業を辞めたときに失業給付を受けられないというデメリットもあります。
自分の将来や働き方にとってどちらがより適しているかを比べて判断するとよいでしょう!