つみたてNISAやiDeCoの口座を作ったら、何を買ったらいいか頭を悩ませてしまいますよね。
一番人気の投資信託といっても数は数千種類もあります。
投資信託は大切な自分のお金を使った投資です。
何がよいか分からないからと人気ランキングから選ぶと「これで良かったのだろうか」と後悔してしまい、途中で売ってしまうかもしれません…。
しっかりと自信を持って資産運用するには仕組みと数字を知っておきましょう!
目次
投資信託ってなに?
投資信託は「ファンド」とも呼ばれます。
たくさんの投資家からお金を集めて、運用のプロである「ファンドマネージャー」が株式、債権、不動産などに投資して得られた利益を投資家に還元する仕組み。
少ない額から始めることができ、個人では投資しにくい国、地域、資産に効率よく投資することができる魅力があるんです♪
投資信託では投資家から集めたお金を「販売会社」「運営会社」「信託銀行」がタッグを組んで運用をしています。
販売会社
証券会社や銀行です。
投資家から資金を集めて、運用会社とのパイプ役となります。
運用会社(委託者)
集めた資金で投資信託(ファンド)を作ります。
作った投資信託の運用や管理は信託銀行(受任者)に任せます。
運用会社は大まかな指図(さしず)だけをします。
運用会社には「目論見書」と「運用報告書」を作成する義務があります。
目論見書は投資家が投資信託を購入する際に交付され、どの資産をどの地域からどれぐらい購入して、どのくらいの利益を出す予定であるかが書かれています。
運用報告書は実際の運用経過、今後の方針、投資信託に組み入れられている資産が詳しく載っています。
購入後に自分が持っている投資信託が順調かどうかを手軽に知ることができますよ。
信託銀行(受任者)
金融市場と直接取引を行っているのは信託銀行です。
運用会社(委託者)から指図を受けて株式や債権を購入、売却、管理をしています。
ポートフォリオの基本と数字
ポートフォリオとは運用のリスクを減らすために、投資対象を分散して投資することをいいます。
「リスクとリターン」「分散投資」の2つの考え方からできています。
分散と標準偏差
リターンは投資した結果の「見返り」を指します。
リターンはプラスだけではなくマイナスも含む考え方であることに注意が必要です!
また、投資はリターンを予想して行いますが未来のことはわかりません…。
そこで予想したリターンとのブレをリスクといいます。
リスクは過去の結果から「分散と標準偏差」を使って表現することができます。
数字が大きいとリスクが高くて、低いとリスクが低いということです。
相関関数
1つの投資信託には、株式と債権などたくさんの商品が入っていることがほとんど!
「相関関数」はその2つの資産の動きの関連性を表しているものです。
たとえば、景気が良くなれば株式が値上がりして、債権が値下がりとまったく逆の動きをするのであれば相関関数は「-1」です。
逆に、まったく同じ動きをするなら相関関数は「+1」です。
「0」の場合は2つの資産は連動していないことを示しています。
リスクを減らし安定した投資をするためには相関関数がマイナスとなる資産を組み込むほうが良いとされています。
一方で、リターンを求める場合は相関関数がプラスとなります。
銘柄分散
投資信託に含まれている株式の銘柄(企業)を1つだけではなく、複数のものにすることでリスクを減らすことができます。
1つの会社が破産して株式の価値が0円になったとしても、他の企業はそのまま残ってくれるからです。
資産分散
「国内株式」「海外株式」「新興国債券」「ゴールド」「不動産」のように銘柄よりも大きな単位のことを資産といいます。
たとえば突然、日本という国が消えてしてしまったとします…。
その時国内株式の価値が0円になったとしても、海外株式など他の資産に分散していればリスクを抑える事ができるのです。
通貨(地域)分散
「円」「ドル」「ユーロ」「人民元」など地域によって通貨の力は違います。
新興国が経済発展すれば時間経過にともなって価値も上がることもあります。
一方で経済危機などによって価値が暴落して、投資信託の価値も下がるリスクもあります。
通貨の地域を分散させれば大きな変動のリスクを抑えることができるのです!
時間分散
1回で多額投資を行うとその後価値が下がってしまうリスクがあります。
毎月、毎週など購入するタイミングを分散することでリスクを低減することができます。
投資信託をもっと知るための数字
株式投資ではPER、ROEなど投資する企業の経営状況を分析して反映させる指標が手がかりになります。
投資信託は株式投資ほど数字や数値を知っている必要はありません。
数字は目論見書や証券会社のWEBサイトから手軽に見ることができます。
ここでは重要となるもの確認していきましょう!
購入時手数料
つみたてNISAでは購入時手数料がかからず、これを「ノーロード」といいます。
つみたてNISA以外で投資信託を購入するときには購入金額の1~3%程度の手数料がかかるものもあります。
低いほどいい!信託報酬
販売会社、運用会社、信託銀行への手数料で、運用期間中は常に発生する「固定費」と言えます。
信託財産から日々徴収されていますが、年率(%)で表示されています。
つみたてNISAでは0.1%程度のものが人気で、40万円を資産運用しているなら年間400円が差し引かれていることになります。
長期運用する場合は1%の違いは数十年後に何十万円もの差を生み出す可能性があります。
あなどらずしっかり確認しましょう!
どれぐらい儲かる?年率リターンとリスク!
▲楽天証券 投資信託情報より
1年間でどれだけリターンがあったかを見ることができます。
6ヶ月、1年、3年、5年など期間を分けて表示されることが多いです。
一番長い期間の数字を参考にして、似たような投資信託と比べて優れているかどうかをチェックしましょう。
6ヶ月や1年の数字はブレが大きく判断基準にするには好ましくありません…。
リターンは長期では年率2~5%が普通です。
SNSでは「20%もプラスになった!」などいう話はありますが短期的にすぎません。
リスクは予想よりもどれぐらい上下するかを示すものです。
たとえば、リスクが13%なら思ったよりも13%リターンが増える可能性もありますし、
逆に13%下がることもありえます。
リスクを知ってから購入すれば値動きに対して落ち着いて対応することができます。
ニュースなどで「株価10%暴落!」と見ても、想定の範囲内であると思えるからです。
ベンチマークとのズレ!トラッキングエラー!
長期の資産運用では「パッシブ型」と呼ばれる投資信託が主流です。
パッシブ型はある経済指標(ベンチマーク)と同じ値動きをするように設計された投資信託です。
たとえば日経平均株価が値上がりしたら、投資信託も値上がりするようにできています。
問題はどれだけ動きが一致しているかです!
日経平均株価が5%値下がりしたとき、投資信託が10%値下がりしていたら連動はしていますが、ズレが大きすぎます。
これを「トラッキングエラー」といいます。
たとえば、トラッキングエラーが「2.5」なら、ベンチマークのリターンと±2.5%の範囲に収まる確率が約68%という意味です。
ややこしいので、トラッキングエラーは小さければ小さいほど良い!
トラッキングエラーの平均は2.0程度なので、まずは目安にするとよいでしょう。
値動きの激しさを知るならベータ(β)
ベンチマークとなる経済指標は常に動き続けており、それに連動して投資信託の価値も変動しています。
ベータはベンチマークの値動きに対する投資信託の値動きの敏感さを示したもので、1よりも小さい方が安定したファンドだと言えます。
たとえば、投資信託のベータが1.29とすると、ベンチマークが10%値下がりしたときに、投資信託は12.9%値下がりすることになり、より損失が大きくなってしまいます。
効率さを知りたいなら?シャープレシオ!
投資信託の効率のよさを表現したものです。
投資ではリスクが大きければリターンも大きく、リスクが低ければリターンも小さいという原則があります。
でも、なるべく低いリスクで大きなリターンを得られていたほうが嬉しいですよね!
シャープレシオは大きいほど、リスクに比べてリターンが良かったことになります。
一般的にはシャープレシオは1を超えていれば投資対象であり、2以上であれば高いパフォーマンスであると言われています。
どの資産や地域に投資しているかによってもシャープレシオの基準は変わってくるので、似たカテゴリーの投資信託と比較する必要もありますよ!
アルファやIRはアクティブファンド向き
アクティブファンドでは「ファンドマネージャー」と呼ばれる人の技量が大きくリターンに影響を及ぼします。
アルファと(α)インフォメーション・レシオ(IR)はファンドマネージャーの能力を測るものです。
パッシブファンドが主流のつみたてNISAやiDeCoではそれほど気にしなくて大丈夫でしょう。
まとめ
資産運用は何十年にもおよぶ長期戦。
派手さや面白みが無いので退屈さに負けて、つい色々なものに手を出してしまいがちです…。
ですが、一番成功する方法は自分が納得できる投資信託を見つけて、とにかく続けることです。
数字をしっかり学んで、自信をもって投資できるようになりましょう!