家を購入する際や、賃貸に入居する際、不動産会社から家財保険への加入を勧められた人は多いでしょう。
しかし、その内容は保険の知識がないと理解するのが難しく、提案されるままに加入した人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は家財保険についてイチから解説していきます。
目次
1 家財保険とは
家財保険とはその名の通り、自宅内の家具など、「家財」の損害を補償する保険です。
1-1家財保険は火災保険の一種
大きな括りで言うと、家財保険は火災保険の一種です。
火災保険の中に、家財保険という、家財の補償に特化した保険があるというイメージです。
1-2火災保険と家財保険の関係
火災保険の補償対象は以下の3つに大別されます。
- 建物のみ:主に賃貸物件のオーナーが加入
- 家財のみ:主に賃貸物件の賃借人が加入
- 建物+家財の両方:主に戸建て物件の所有者
そういうことです。
火災保険は建物と家財への損害に対する保険の総称であり、その中の家財への保険が家財保険となります。
裏を返すと、家財保険では建物への補償はされません。
その逆もしかりで、火災保険へ加入していても、補償内容に家財保険が含まれていなければ、家財への補償はされず、建物のみの補償となります。
このことから賃貸物件では、建物のみを補償する火災保険にはオーナーが、家財保険には賃借人が加入することが多いです。
建物の所有者と、住んでいる人が異なるためです。
持ち家の場合は通常、建物の所有者と住んでいる人が同じなため、家財保険が含まれる火災保険へ加入するのが一般的です。
2 家財保険の補償内容
家財保険で補償される損害の種類と補償の対象になる家財について説明します。
2-1補償対象になる損害の種類
補償対象となる損害の種類は大きく5つに分けられます。
➀自然災害
大雨洪水などの水害、その他、落雷や台風、豪雪などによる自然災害。
➁設備不良による損害
建物内のガス管の破裂、水道管からの水漏れなど設備不良による損害。
➂犯罪行為による損害
盗難や他者からの暴力行為による損害。
➃人為的ミスによる損害
飲み物をこぼしたりなど、自身の不注意による損害。
➄不慮のトラブルによる損害
建物への落下物や建物自体の倒壊による損害。
また、自宅から別の建物へ移動した家財が、移動先の建物で火災や水害、盗難に遭った場合の損害も対象になります。
ただし移動先は国内の建物に限ります。
2-2補償対象となる家財の種類
家財保険の対象となる家財については、以下のように定義されています。
- 日本国内に所在する保険証券記載の建物に収容されている被保険者の所有物(建物内の家具や家電、衣類など)
- 1点または1個の評価額が30万円以上の貴金属・宝石類・骨董品・彫刻物・美術品など(明記物件)
①は基本的に保険証券に記載されている建物内の家財であれば補償されるということです。
ただし、以下のものは補償対象外となります。
- 自動車などの乗り物
- 有価証券や小切手など
- PC内のデータや、データの記録媒体
2-3 補償のために申告が必要な家財について
家財保険では高価な貴金属類や美術品なども家財として補償されます。
しかし、それらの高価な家財の中で、評価額が30万円を超える物に関しては、「明記物件」として保険会社へ申告が必要です。
申告しないと、損害を受けた際、補償されないこともあります。
ただし30万円以上であってもテレビやPCなど、日常的に使用する家財については申告不要です。
【3】家財保険加入時に気をつける4つのポイント
家財保険には様々な特約があり、必要なものと、不要なものを見分けるのは大変です。
そこで家財保険の特約や契約内容について、抑えておくべきポイントを4つお伝えします。
3-1日常生活賠償特約の重複に注意
家財保険加入時や更新時に、不動産屋から日常生活賠償特約を勧められることがあります。
日常生活賠償特約とは、日常生活の中で他人の者を壊したり、怪我を負わせてしまった際の補償です。
そうなのですが、この特約は自動車保険など他の保険でも特約として入ることができます。
そのため、まずは他の保険の特約で既に加入していないか確認しましょう。
3-2借家人賠償特約は賃貸では必須
不動産屋は色んな特約を勧めてきます。
特約への加入数に応じ、保険会社からインセンティブが支払われるケースがある為です。
いやいや(苦笑)
そういうわけにはいかないんです。
何故なら、特約の中には加入が必須のものもあるからです。
たとえば、借家人賠償特約は、賃貸では加入が必須となっています。
賃借人は、オーナーに対し、退去時に借りた部屋を原状回復させる義務を負っています。
つまり、元通りにして返す義務があるということです。
しかし、偶発的な事故などで室内などを酷く損傷させてしまった場合、賠償額が高額になり、自力では支払えないことがあります。
借家人賠償特約はまさにそうした高額な賠償金を補償するためにあります。
この特約に入っていれば、賃借人は原状回復の義務を果たせ、オーナーにとっても安心です。
そのため、賃貸契約の際は借家人賠償特約への加入が必須になっているのです。
3-3補償金額は再調達価額に設定する
損害を受けた家財に対し、家財保険で支払われる保険金は2種類あります。
- 時価額…経年劣化による損耗を除いた金額が支払われます
- 再調達価額…損害を受けた家財と同等の物を購入するために必要な金額が支払われます
そういうことです。
ですから、家財保険の補償額は再調達価額に設定しておきましょう。
時価額だと、保険金だけでは同等の物を新品で買い直せない恐れがあります。
3-4 臨時費用特約で保険料を節約できる
火災や災害に遭うと、直接的な被害の復旧以外にも何かと費用が掛かります。
そうした費用を補償するのが臨時費用特約です。
臨時費用特約は、主に保険金の10%・20%・30%の3つがあり、上限額は100万円・200万円・300万円のことが多いです。
補償額自体を100万〜300万上げようとすると、保険料も上がってしまいます。
それよりも、臨時費用特約をつけた方が得な場合もあります。
まとめ
今回は家財保険についてお伝えしました。
新たに加入する人はぜひ参考にしてみてください。
また、毎年同じ内容で更新している人も、次の更新時には契約内容を見直してみてはいかがでしょう。