正社員でも意識したい「最低賃金」について

年に1度は最低賃金が〇〇◯円になりましたというニュースが流れます。
自分の給与は増えないし最低賃金なんて意味がないよ〜!と嘆くばかりで、実はよく知らないのではないでしょうか。
多くの企業の労務担当者が金額を記憶しているくらい、最低賃金には大きな意味があるんです!

そこで今回は、最低賃金の仕組みについて学んでいきましょう。

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今回も一緒に学んでいこか~♪

最低賃金法で決められている!

最低賃金は労働基準法に含まれていましたが、昭和34年には1つの法律となりました。
企業側が低い賃金で働かせることを防ぐ目的があります。
ほとんどの企業にとって、出費トップ3に入る人件費は少しでも減らしたい項目です。

さらにライバル企業がいたら、製品の販売価格を下げるために人件費の値下げ競争に発展してしまうことも…(汗)
そうなると働く人の生活は安定しなくなってしまいます。
賃金が低くて生活もままならなければ気力もなくなり、品質も下がるのは当然です。

そこで国はルールを設けることで、経済が健全に成長することを期待しているのです!

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悪い経営者を止める法律もあるんやな!

地域別に決定される

日本では最低賃金は都道府県ごとに設定されていて、最低賃金がない地域は1つもありません。
2022年では最低金額は853円(該当10県)、最高は東京の1,072円で差額は219円です。
1ヶ月160時間の労働時間とすると35,040円も近いがあります。

これは地域によって労働者の生計費や企業経営に必要な資金に差があるからです。

労働者の生計費は憲法25条にもある「健康で文化的な最低限度の生活を営むことができる」ような水準であると考えられています。
そして、憲法25条を元に定められている法律には生活保護法もあります。

つまり、最低賃金法と生活保護法は親戚のような関係ということ。
最低賃金法には「生活保護の政策と整合性をとれるように配慮する」と書かれているのです!

地域によって生活するのに必要な金額は変わり、生活保護での最低生活費も変わります。
最低賃金は生活保護の水準より高く設定されますが、同じく地域の相場の影響を受けるというわけです。

さらに企業がどれだけ賃金を支払えるかも地域の事情によって変わってきます。
地域ごとの賃金は最低賃金審議会で調査審議された上で、各都道府県の労働局長によって決定します。

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いろいろな要素を考えて総合的に判断されてるんやな

基準の単位は「時間」

最低賃金の単位は時間、つまり時給ということになります。
時給が基準なだけで、パートやアルバイトだけではなく正社員も対象です。

では、正社員の場合ではどう考えるのか見てみましょう!

三重県の2022年の最低賃金は933円です。
基本給が16万円、1日の労働時間8時間、年間休日が105日だとしましょう!

年間労働時間を計算すると2,080時間((365日-年間休日105日)×1日8時間)となります。
1月あたりの数字にするために2,080時間を12ヶ月で割ると、1ヶ月の所定労働時間は173.3時間(端数切捨て)です。

1ヶ月の所定労働時間がわかれば最低賃金かどうかはすぐに計算できます。

基本給16万円÷173.3時間 ≒ 924円(端数切り上げ)
三重県の最低賃金は933円なので最低賃金を下回ってしまいます…。

もし最低賃金より時給が下回っていたら自動的に最低賃金に引き上げられることになります。
この例だと最低賃金の933円より高い月給にしなければなりません。
過去に最低賃金を下回る賃金が支払われていたなら企業は差額を支払う必要もあります!

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最低賃金より給料が高いと思っていても実は下回っている可能性があるんやな!

特定最低賃金って何?

特定最低賃金は産業や職種ごとに適用される最低賃金です。

「電線・ケーブル製造業」「電子部品・デバイス・電子回路」「自動車製造業」など細かく分かれていて、通常の地域別最低賃金より高く設定されています。
特定最低賃金は関係する労使の代表からの申出を受けて定められているという特徴があります。

通常の地域別最低賃金がすべての労働者のセーフティネットであるのに対して、産業や職種の保護をするものです。
特定最低賃金も法的な力はあるので、下回る賃金の契約は無効となりますよ!

最低賃金が減額されることもある

都道府県労働局長の許可があったときには最低賃金より低い金額にすることができます。

  • 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者
  • 試みの使用期間中の者
  • 職業能力開発促進法の規定により認定を受けて行われる職業訓練のうち、職業に必要な基礎的な技能および知識を習得するものを受ける物であって、厚生労働省令で定めるもの
  • 簡易な業務に従事する者および断続的労働に従事する者

減額には許可が必要なので試用期間中だから最低賃金より安くてもいいことにはなりません。

また、高齢や障害によって作業速度が遅いというだけでも対象にはなりませんよ!

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最低賃金より低くできるのはあくまで特例ってことやな

派遣で働く人は要注意!

派遣契約で働く人は所属する企業の所在地と、実際の働く場所がズレていることがほとんどです。

例えば所属している派遣会社の所在地が三重県で、勤務地が東京都だったとすれば適用される最低賃金は東京都のものです。

そして、派遣先の従業員が特定最低賃金の適用を受けているのであれば、派遣契約で働く人も特定最低賃金が適用されることになります♪

企業には罰則もある

最低賃金を守らないと労働者にとっては最低賃金まで引き上げられることになります。
企業にとっては50万円以下の罰金(特定指定賃金については別法で30万円以下の罰金)が課せられます。

また、労働者が最低賃金違反を労働局や労働基準監督署に申告した仕返しとして、解雇や不利益な行為をした場合には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます(汗)

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刑務所に入れられちゃう可能性もあるんか!?

 

まとめ

最低賃金は労働者の生活を守って、企業が健全な経営を行うことを狙った法律です。
最低賃金には特定最低賃金があり産業や職種を保護する役割もあります。
計算方法、働く場所、職種を確認してみたら最低賃金より下だったなんてこともありえます。

月給制で働く人も要注意。
一度計算してみてはいかがでしょうか?

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みなさん、お疲れさまでした~

 

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