副業が思ったよりも順調で独立したい、個人事業主としてステップアップしたい。
そんな時、「よし、会社を作ろう!」と思ったことはありませんか?
インターネットが普及した現代では、物やサービスの売買は誰でも簡単にすることができます。
しかし、それを会社としてやろうとすると、どうすればいいか分からず腰が重たくなってしまいますよね。
今回は会社とはなにか、設立のプロセスについて学んでいきましょう!
目次
会社もたくさん種類がある
会社法と呼ばれる法律では「株式会社」と「持分会社」の2つを定めています。
「株式会社」はたくさんの人から少しずつお金を集めて起業するのが特徴。
顔も知らない人からお金を集められるので、大きな規模の会社を作ることもできます。
もし株式会社が倒産しても、お金を出した人は出したお金以上の責任を問われることはありません!
「持分会社」は合名会社、合資会社、合同会社の3つに分かれています。
信頼できる少数の人たちがお金を出し合って営業するもので、比較的小規模の会社です。
持分会社の代表的な合名会社では、会社が倒産したときにお金を出した人は全ての責任を負うことになります…(汗)
株式会社の特徴
会社には法人格があります。
「法律によってできている人間」という意味で「お母さんから生まれた人間」に近い権利が与えられています。
ですので、会社も人間のように契約、訴訟、政治的な行為をすることができます。
一方で「人」であるので私たちが所得税や住民税を支払うように、法人も所得税や法人住民税を支払う必要もあるのです…。
そんな株式会社は「人類最大の発明の1つ」と言われて、人類の発展を爆発的に加速させました。
今では当たり前すぎて気づきませんが、株式会社が発明される前と後の世界の経済的発展のスピードは天と地ほどの差があると言われています!
株式会社は会社を経営する取締役を始めとした「経営陣」と、出資して株主となった「オーナー」に分かれます。
小規模の会社では一体となることが多いですが、一定以上の規模になると分かれていくのが特徴です。
オーナーの意向を無視して会社の財産を減らすような経営陣の行為は厳しく規制されています。
一方で、他の法律と比べてスピードや手続の簡素化も重視されているのです。
公開会社と非公開会社
公開会社は株式を誰かに譲渡したり売買したりする制限がない、または制限されている株が混在している会社のことをいいます。
ですので、非公開会社であっても株式の情報自体は見ることはできます。
公開会社の株式は個人でも証券会社の口座を持っていれば気軽に売買できるものもあります。
勘違いしやすい点は「公開会社=東証一部などに上場している会社」ではないことです!
非公開会社は比較的伝統的な日本のスタイルといえます。
家族経営が代表的で親族以外が株式を持てないように譲渡制限がされています。
非公開会社は中小企業のものというイメージを持つ人もいますが、誰もが利用したこともある大企業にも非公開会社はたくさんあるんですよ!
株式会社は発起設立と募集設立の2種類
発起設立と募集設立の違いは、最初の資本金の集め方の違いにあります。
発起設立
会社を設立したいと思っている発起人がお金を全て出すものです。
発起人は何人いてもよく、法人も認められています。
副業や個人事業主、または仲間たちだけで会社を設立するときは発起設立と言えるでしょう。
発起人は会社の設立から完了までの責任を負うことになります。
会社設立後は株主となり、取締役になる例もあります。
募集設立
発起人だけでなく発起人以外もお金を出すのが募集設立です。
発起人が会社を設立するのにあたって、不特定多数の人たちからお金を集めるので大きな事業を起こすことができます。
いよいよ作り始めよう!
ステップ1 定款をつくる
定款とは会社の根本的なルールを定めたもので、会社の憲法とも言われています。
会社に勤めていると「就業規則」を目にすることがありますが従業員向けのルールです。
つまり、定款は就業規則より上位のルールなんです!
定款は発起設立でも募集設立でも発起人が作成します。
とても大切なルールなので公的な機関である「公証役場」で証明してもらう必要があります。
これにより後から勝手に書き換えられてトラブルになることを防ぐことができるのです!
では、定款にはどんな内容が記載されているのでしょうか?
絶対的記載事項
絶対的記載事項は定款に必ず記載しなければならない事項です。
漏れがあっても無効として訴えられる可能性があります。
- 目的(事業内容)
- 商号(会社名)
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
※会社設立後の資本金 - 発起人の氏名または名称及び住所
- 発行可能株式総数
※ステップ3までに決めればOK
基本情報が並んでいますね。
発行可能株式総数がギリギリまで決めなくていいのは、いざお金を集めようとしたら思ったよりも集まらなかった場合に備えるためです。
相対的記載事項
かならず記載しなくても大丈夫ですが、定款に記載しないと効力が発生しない内容です。
- 現物出資がある場合の内容
- 財産引受の内容
- 発起人の報酬
- 会社の設立費用のルール
- 株式の譲渡制限に関するルール
- 取締役会の設置についてのルール
など
相対的とは言え会社の重要なルールが含まれています。
お金に関するトラブル防止のための内容も多いのが特徴です。
特に1~4については会社に大きく影響を与えるので、原則として裁判所が専任する検査役の調査が必要です。
もしも内容が適切でない場合は裁判所や後述する創立総会で変更されてしまいます。
任意的記載事項
取締役の人数や定期総会の時期など、義務はなくても明確にする必要がある内容が記載されます。
ステップ2 会社の中身を作っていく
発起設立の場合
発起設立でやることは2つ。
発起人が出資金を払うことと、設立時の役員を選任することです!
発起人は設立時発行株式を引き受けたらお金の払い込みや現物給付をします。
発起人が出資を終わらせたら設立時役員の選任です。
設立時役員は出資が完了しているか、その他手続が法律と定款で整合性が取れているか、違法でないかをチェックします。
募集設立の場合
募集設立でやることは3つ。
株式引受人の募集、出資金を払うこと、創立総会です!
株式引受人を集めるために発起人全員が納得した募集株式の数、払込額、振込期日や期間などを定めます。
発起人が募集内容を通知し、株式引受人から申込みを受けると割当が行われます。
そして、株式引受人は期間内に銀行や信託銀行などでお金を払い込みます。
発起設立のように発起人と株式引受人が出資を終わらせると創立総会を行います。
創立総会では発起人が設立に関する事項について報告し、設立時取締役なども選任します。
決議には以下の条件を満たす必要があります。
- 出席した設立時株主の議決権の2/3以上の賛成
- 議決権を行使できる設立時株主の過半数の賛成
ただし、株式を取得する条件を付ける場合には全員の同意が必要です。
創立総会の内容に反対であれば議決後に株式の引受を取消すことができます。
ステップ3 行政に届け出る
会社の中身が作れたら発起設立と募集設立ともに会社の設立登記を行います。
代表者が本店所在地の登記所で行うことでようやく会社が生まれるのです♪
設立登記をするまでは発起人が会社に関する権利や義務を負っていましたが、法人と認められることで発起人から会社に移動します。
発起人や株式引受人は株主となる大きな意味もありますよ。
まとめ
会社には株式会社と持分会社、公開会社と非公開会社など特性に合った形があります。
株式会社を設立するには発起設立と募集設立があり手続にも違いがあります。
会社の憲法である定款やお金の払い込みなど、少しずつ会社の形を作っていくのです。
最後に設立登記をすることで会社が存在していると認められるのです!
自分に合ったスタイルはどんな形の会社なのか、よく考えたうえで会社を設立しましょう♪