将来の年金を効率的につくることができるiDeCoは年々開設する人が増えています。
利益に税金が掛からなかったり、減税に役立ったりとさまざまなメリットは見逃すことができません。
ですが、iDeCoは制限があり使い勝手の悪い制度だと感じる人もいました。
2022年10月からの法改正では加入を諦めてきた人にとって朗報かもしれません。
目次
iDeCoは元々自営業者のためのもの
正式名称「個人型確定拠出年金」であるiDeCoは2001年に個人事業主のために生まれました。
会社員にある厚生年金保険に加入できない個人事業主は老後資金に不安があります。
そこで、国民年金保険の上乗せとして存在しているのです。
ですが、今では国民の年金不安問題の緩和のために会社員や公務員などほとんどの人が利用することができます。
iDeCoの範囲が広がる
iDeCoは資産形成にも節約にも優秀です。
そのため社会制度で優遇されている会社員と、優遇や保護が少ない個人事業主とのバランスが取られています。
今回の制度では、バランスを取るための制度が1つ無くなります。
それが企業型確定拠出年金の加入者への制限緩和です。
企業型確定拠出年金は会社側が従業員の福利厚生や退職金の代わりとして取り入れている制度です。
多くの場合、入社と共に企業型確定拠出年金に加入します。
会社側は定期的に従業員が将来お金を貰えるように掛金を支払ってくれています。
入社時に申込用紙に記入するだけなので年に数回、送られてくる書類を目にするだけの人もいるのではないでしょうか?
実は今までは企業型確定拠出年金に加入していると、会社側がiDeCoに加入することを規約で認めていない限り利用ができませんでした。
仮に認められても会社側が「マッチング拠出」と言われるルールを定めていないことなどルールは複雑でもありました(汗)
しかし、2022年10月からは規約の定めによりiDeCoに加入できなかった人も利用できるようになるのです!
いくらまで利用できるの?
iDeCoは金額の制限が細かく指定されています。
すでに会社が何かしらの年金制度に加入している場合、iDeCoでの掛金の上限(月額)は以下の通りです。
企業型確定拠出年金に
加入済みの人 |
企業型確定拠出年金と確定給付年金に加入済みの人 | |
① 事業主(会社)の掛金 | 55,000以内 | 27,500以内 |
② iDeCoでの掛金 | 20,000以内 | 12,000以内 |
①+② | 55,000以内 | 27,500以内 |
ちょっと分かりづらいですが、元々の上限はiDeCoが加わったからと言って変わらないということです!
例えば、企業型確定拠出年金に加入済みの人(上限55,000円)の場合を見てみましょう。
事業主の掛金が40,000円だとiDeCoの掛金は20,000円ではなく、15,000円までと上限まで使うことはできません。
ですが、事業主の掛金が月々5,000円と少なければiDeCoでの掛金は上限の2万円となります!
iDeCoでない方がオトクなケースもある
企業型確定拠出年金には「マッチング拠出」という制度があり、利用できるかは定めがあるかによります。
マッチング拠出ができる定めがある場合はiDeCoといずれかを選ぶことができます。
マッチング拠出とiDeCoは併用不可というわけです…。
マッチング拠出は企業型確定拠出年金に自分も掛金を支払うことができます。
会社側が運用しているので口座管理料や管理する手間はかかりません。
利益が非課税であることや、税控除もできます♪
限度額の総額も55,000円までとiDeCoを利用したパターンに近いのです!
しかし、マッチング拠出は「会社が拠出するものである」という考えから、会社の掛金より多く掛金を設定することはできません。
限度額をフルに使うには会社側の掛金が27,500円以上でなければならないのです…(汗)
iDeCoは多くの場合は本人の掛金上限は20,000円なのにも注意が必要です。
マッチング拠出には会社側の掛金が20,000円を超えているかどうかをまず確認するのがよいでしょう。
会社側の掛金が20,000を下回っている場合、iDeCoのほうがより多く拠出することができます♪
しっかり考えるのがiDeCo
iDeCoは「個人が自分の責任で運用をするもの」とされています。
一方で、日本では資産運用はお金を出すけど細かいことは誰かにしてもらう文化が根づいています。
マッチング拠出や生命保険などはその代表例です。
しかし、iDeCoでは申込みからどの商品を買うかまで基本的には自分で考えなければなりません!
加入の手続についても証券会社などで口座を開設、国民年金基金連合会へ書類を提出と慣れない作業が続きます。
そのため、最初にやる気があっても時間が経って気持ちが萎えてしまう人は少なくありません。
まずは、なぜiDeCoをしたいのかをしっかりと考えるところから始めましょう。
会社には早めに問い合わせる
iDeCoの加入手続きでは勤め先にも必要事項を記入して貰う必要があります。
企業によっては手続に時間が掛かってしまい手続が進められないこともあります(汗)
「イデコハラスメント」などとも言われるこの現象ですが、会社の担当者としても確定拠出年金制度は複雑な面があります。
会社として法的に適切であるか調べ、企業型確定拠出年金の運営機関にも確認を取るのが一般的でしょう!
そして、書類を記入後は社内決裁をするにも時間がかかります。
多くの会社では給料支払業務など重要業務が優先されるので、後回しにされがちでもあります(涙)
依頼をした側からすれば「書けばすぐ終わるじゃないか!」とイライラするかもしれません。
ですが、会社の担当者も人であることを忘れてはいけません。
余裕を持って1~2週間はかかると思ってスケジュールを立てると良いでしょう!
激変していくiDeCo
2022年の春からiDeCoは制度がどんどん拡充されています。
すでに加入可能期間や受給開始年齢の拡大、脱退一時金の要件見直し、年金資産の移行の拡大が行われました。
今後も掛金上限の見直しなどが続いていく予定です。
まとめ
企業型確定拠出年金に加入していてiDeCoを有効活用できなかった人にも2022年10月からはチャンスが生まれます。
元々の企業型確定拠出年金をより活かすマッチング拠出を選ぶか、それともiDeCoを追加で運用をするかは条件によって変わります。
もし、iDeCoで資産運用をする場合には企業型確定拠出年金と違い、すべて自分で考えて判断しなければなりません。
そのためにはしっかりと知識を身につける必要もあるでしょう!