2017年6月に、東名高速道路でワゴン車があおり運転を受け、乗っていた夫婦が死亡し、同乗していた長女と次女が負傷する事故が起きました。
それでも、あおり運転をする車は後を絶ちませんし、もしかすると、あなたも無意識にあおり運転に該当する行為をしているかもしれません。
そこで今回はあおり運転について、その定義や罰則、また、あおり運転を受けた際の対処法についてもお伝えします。
目次
妨害運転に該当する運転とは
あおり運転といえば後方からの危険な接近を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、あおり運転のような妨害運転と見なされる運転は他にもあります。
冒頭で述べた2017年の死亡事故をきっかけに、道路交通法が改正されました。
改正道路交通法では、あおり運転を含む危険な運転を「妨害運転」とし、その内容を以下の10種に分類しています。
- 不要な急ブレーキ
- 急な加減速や幅寄せ
- 車間距離を詰めて接近
- 急な進路変更や蛇行運転
- 対向車線からの接近や逆走
- 不必要な継続したハイビーム
- 不必要な反復したクラクション
- 左車線からの追い越しや無理な追い越し
- 高速道路などにおける駐停車
- 高速道路などの本線車道での低速走行
ハイビームは気づかずやってしまっている人もいるのではないでしょうか。
また、高速道路を最低速度である時速50Km以下で走ることも妨害運転となります。
故障などでスピードが出なくなった場合などは、ハザードランプをつけ、速やかに路肩へ停車しましょう。
妨害運転に対する罰則
妨害運転に対する罰則は、危険度に応じて以下の2つに分かれます。
交通の危険のおそれがある妨害運転に対する罰則
・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・違反点数25点(欠格期間2年の運転免許取消し)
著しい交通の危険がある妨害運転に対する罰則
・5年以下の懲役または100万円以下の罰金
・違反点数35点(欠格期間3年の運転免許取消し)
前歴や累積点数がある場合は、欠格期間が最大で10年になることもあります。
また、あおり運転に加え、相手に危害を与えるような行為があった場合は、暴行罪、傷害罪、脅迫罪などに問われることもあります。
あおり運転とみなされる可能性のある運転
あおり運転を含む妨害運転は厳罰化されており、行わないよう、心掛けているドライバーが大半でしょう。
しかし、もしかすると、意図せずあおり運転にあたる行為をしている可能性もあります。
そこでこの章ではあおり運転にあたる行為の具体例を見ていきましょう。
対向車線へのはみ出し
センターラインを越え、対向車線にはみ出す運転は、あおり運転とみなされることがあります。
初心者ドライバーや、運転に自信のない方などは、ふらつきによってセンターラインをはみ出さないよう、注意が必要です。
不必要な急ブレーキ
危険回避などの必然性のない急ブレーキは、道交法で禁じられています。
道を間違えたなど、緊急性がなく、自分本位な理由での急ブレーキはあおり運転と見なされる可能性があります。
実際のあおり運転でも、後続車への嫌がらせとして急ブレーキをかける事例が報告されています。
後続車からしたら、嫌がらせなのか、何か理由があってのことなのか、見分けがつきません。
危険な追い越し
強引な追い越しや、追い越し禁止区域での追い越しは、道交法違反であり、あおり運転とみなされることがあります。
継続的なハイビームと妨害目的のパッシング
ハイビームは前走車や対向車にとって眩しく、迷惑であるだけでなく、危険です。
パッシングは、道を譲るために行うこともありますが、威嚇などの目的で行うと、あおり運転と見なされます。
執拗なクラクション
急ブレーキと同様に、必然性のない執拗なクラクションは他車への嫌がらせ、威嚇と見なされ、あおり運転に該当する可能性が高いです。
高速道路での低速走行
高速道路の最低時速は50Kmと定められています。
それよりも遅く走ると、あおり運転と見なされる可能性があります。
高速道路での過度な低速走行は、後続車への嫌がらせとも取れるためです。
初心者ドライバーの方などは、スピードへの恐怖心からゆっくり走ろうとしがちですが、高速道路では流れに乗ることが必要です。
高速道路上での駐停車
高速道路上での駐停車は道交法違反であり、あおり運転と見なされる可能性があります。
あおり運転の事例では、他車の走行妨げ等の目的で、高速道路上に駐停車するケースがあるためです。
あおり運転をしないために必要なこと
自分本位な運転はあおり運転に繋がります。
普段は交通マナーを守っているドライバーでも、急いでいる時やイレギュラーなことが起き、焦っている時などは他車の動きに苛ついたり、自分本位な運転になりがちです。
いくら苛ついて急いだところで、目的地に着く早さはそう変わりません。
また、イレギュラーなことが起きたときほど、落ち着いて対処すべきです。
万一、事故を起こしたり、あおり運転と見なされトラブルになれば、そちらの方が余程、時間がかかります。
急いでいる時、焦っている時こそ、冷静な運転を心がけましょう。
あおり運転を受けた時の対処法
最後にあおり運転の被害に遭った時の対処法についてお伝えします。
人目のある安全な場所に停車する
あおり運転をされたら、道幅のある道路であれば、路肩に駐車し、あおって来る後続車をやり過ごしましょう。
もしくは店舗の駐車場へ入っても良いでしょう。
高速道路であれば、SAやPAなどへ避難しましょう。
どちらの場合も、人目がある場所に駐車することが大切です。
警察に110番通報する
後続車のドライバーとトラブルになった際は躊躇わずに警察へ通報しましょう。
警察が到着するまで、ドアをロックし、車外へは出ないことです。
外に出てしまうと、感情的になっている相手に危害を加えられる危険性があります。
相手の行為を撮影する
相手の威嚇や暴言はスマホなどで撮影しておきましょう。
また、ドライブレコーダーを搭載しておくとあおり運転をされた証拠を残せます。
まとめ
今回はあおり運転について解説しました。
あおり運転にあたる行為をしないことは勿論、あおり運転をされた際も、冷静に行動し、被害を最小限に食い止めるようにしましょう。