年金が減っているって本当?年金の仕組みを詳しく解説

将来貰える年金額は減っていくという話を聞いたことがありますか?
老後のために、つみたてNISAやiDeCoなどを利用し、資産運用する必要があるとも言われています。
年金がゼロになるかも!?という漠然とした不安から焦って無理な投資をする人も…。
ここでは貰える年金額がどのような仕組みなのか学び、「わからない」という不安から解き放たれましょう!

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一緒に学んでいこう~!

年金額が変わる理由を知っていますか?

年金支給額が減ったという報道を見ると「物価の影響など」と書かれているだけで、いつどういう条件で変わるのか、将来どうなるのかは分かりません。
調べようとすると「マクロ経済スライド」などのムズカシイ単語が出てきて、複雑で分かりにくいですよね…。
でも実は、年金は意外にシンプルな仕組みです。
基本となる国民基礎年金のルールを1つずつ見ていきましょう。

年金は将来「貰える額」が決まっています。
原則20歳から60歳まで全て支払った場合は年額780,900円ですが、支払う年金保険料は毎年変わっています。
これを確定給付型といいます。
その逆はつみたてNISAで、購入されている投資信託は「買う金額」を決めることができますが、値動きがあるので将来いくら貰えるかは分かりません。
これを確定拠出型といいます。

でも年金額が減ったというニュースもありますよね。
それは日本の生活水準やさまざまな社会状況の変化に合わせて、年金額を調整できる仕組みがあるからです。
例えば65歳から100歳まで年金を受給すると35年間にもなります。
35年もあれば、世の中は様変わりしていますよね。
なので、国民基礎年金は年額780,900円に「改定率」を設定して毎年見直しをしているのです!

年金額を決める3つの要素

物価・賃金・人口の増減

毎年見直される年金額を決める要素は「物価」「賃金」「人口」の3つです。
3つの中で基本となるのは物価と賃金で、賃金は額面と手取り額の両方が考慮されています。
特徴としてはより年金額に大きい影響を与えるのは「物価」です。
物の値段が上がれば年金額も増えて、物の値段が下がれば年金額も下がります。

反映には時間差がある

物価や賃金と連動して年金額が変わるなら、将来もらえる年金額も増えることもありえますよね。
最近では2017年から2020年の3年間は増額されていました!
ですが、2022年は減額となっています…。
なぜでしょうか?

2022年はガソリンや小麦など多くの物が値上がりし、数十年ぶりの上昇幅とも言われています。
年金受給者は生活が苦しいのに年金も減ってしまうので、「国はヒドいことをする!」というインビュー映像がテレビなどで流されることもありますよね。
これは3年~5年度前の統計データを反映させているためだからなんです。
逆に現役世代が厳しい生活状況のときに、年金受給者の生活は比較的楽だった…とも言えます。

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仕組みを知らんと話に流されてしまうかもしれへんな!?

少しずつ目減りするのはナゼ?

国民の声を悪く反映した仕組み

将来受け取れる年金額が減ってしまうと言われるのは、2030年には1/3人が高齢者になり年金財政の先行きが厳しいから。
原則として年金額の見直しは物価と賃金でしたが、年金制度が安定させるために平成17年から「人口の増減」が加えられました。
少子化による労働力人口の減少と寿命の伸びを反映できるようにしたのです。
さらに調整のためにさまざまなルールも増えています。
これが「マクロ経済スライド」と言われているものです。

マクロ経済スライドはバブル崩壊の影響が続く大不況の時代、総理大臣が小泉純一郎のときに生まれました。
「消えた年金問題」など年金制度への風当たりも強かったためか、国民からの反発を抑えつつ、年金財政を改善するような仕組みとなりました。
ですが残念ながら、将来世代への負担を解消するまでにはなっていないようです…。

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人口が減少して寿命が伸びるなら、年金額は抑えられてしまう…

現役世代が苦しいときほど年金受給者はトクをする!?

  • 物価や賃金が減少した
  • 人口減少と平均寿命が伸びた

このとき物価と賃金が下がったので年金額も下がります。
年金額が下がることは世論の反発も大きいですよね。
そこで人口減少と平均寿命の伸びの分のマイナスは反映させないのです。
本当はもっと減るはずの年金額が減らないのでオトクな状態とも言えます。

経済成長するときだけ「人口」は調整される

物価や賃金への年金額の反映は毎年度されています。
しかし、人口減少と平均寿命の伸びの分は物価や賃金が上昇するときだけ調整されることになります。

【例】物価が2%上昇、人口分は0.5%調整が必要の場合

物価2% - 人口0.5% = 1.5%

さらに「キャリーオーバー」という仕組みもあります。
物価や賃金がマイナスだったときに反映されない人口分のマイナスは、借金のように増えていきますよね。
その分を解消するために物価や賃金が上昇したときに調整します。

【例】物価が2%上昇、今年の人口分0.5%、前年度に人口分0.4%が調整されなかったとき

物価2% - 人口0.5% - 前年度の人口分0.4% = 1.1%

不景気のときにトクした分、将来の貰える年金額の伸びがガクッと抑えられていますよね。
このように年金額が増加を抑えることで財政負担を減らしているのです。
一方、人口が減って平均寿命が伸びる限りは受け取ることができる年金の目減りは続くことになります。

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頑張って物価や賃金を上げてもなかなか年金額には反映されへんな(汗)

いまのルールにはどんな問題があるの?

マクロ経済スライドには大きな問題があります。
バブル崩壊後のように不景気が続くときには年金問題は見えにくくなります。
一方で、好景気などで物価や賃金が上昇しているときには現役世代がと年金受給者との差は広がりやすくなります。
その原因は「昔の年金受給者がトクしたせいだ」とも言えるので、世代間での対立になってしまうことがあります…。

不景気だけではなく、新型コロナウイルスまん延のような一時的な物価や賃金の減少でもマクロ経済スライドは行われず、将来へのツケは増えていくことになります。
調整がされない時期が長ければ長いほど、年金財政が改善されまでの期間も長くなって年金額が目減りも増えてしまうのです…(汗)

年金額の減少に下限はある

年金額が減少し続けるといっても法律で下限が定められています。
現役世代の男性平均賃金の1/2  = 夫婦2人の年金の合計(基礎年金+厚生年金)

例えば、現役世代の男性賃金の平均(税金額を差し引いた後の額)の月給が30万円なら、その1/2は15万円ですよね。
つまり夫の年金8万円+妻の年金8万円 = 16万円になっていればよいという考え方です。
ポイントは夫婦2人なので配偶者に先立たれたり、独身であったりすると不利になってしまいます。
さらに、想定で使われる数字は「基礎年金の満額が貰える」「男性賃金の平均」などのため、下限が維持されたとしても、ほとんどの人が貰える年金はもっと少ないと考えられます(汗)

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下限があっても安心できないね…

まとめ

年金額は毎年見直しがされています。
物価上昇と年金減額のタイミングが重なると不満が大きくなりますが、統計データを使うため数年間遅れて反映されることが原因です。
少子高齢社会の年金財政を解消するためのマクロ経済スライドだけでは、将来の年金が目減りするのを避けることはできません!

つみたてNISAやiDeCoなどを活用して備えようという話は決して他人事ではありません。
しかし、年金制度の不安を煽って不適切な商品を買わせようとしたり、政治利用したりしようとする人も中にはいます。
周りに流されず着実に資産形成できるように知識を増やしましょう!

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ほなみなさん、お疲れさまでした♪

 

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